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工務店 佐渡 takumi-2jamの日記

佐渡島で自然素材をふんだんに使った家づくりに取り組みながら、気ままに書き綴っています。

新潟 丈夫な骨組みで家づくりを

 過日、新潟で行われたセミナーに参加してきました。
講師は、構造設計を専門にしている新潟出身の1級建築士で、構造計算の実務だけでなく木造の耐震や地盤について深く研究されている佐藤実氏。「楽しくわかる!木構造入門(エクスナレッジ刊)」といった著書も有ります。(右リンクは、Amazonのアドレスです。Amazon CAPTCHA)以下、やや専門的で長文になりますが、ご一読いただけたら幸いです。
 また今晩9時からのNHKスペシャルでは「大地震 あなたの家はどうなる? ~見えてきた”地盤リスク”~」という番組も放送され、熊本地震の被害を地盤の解析から建物被害を振り返りますので、これから家づくりをご検討される方にはご覧になる事をお勧めします。

www6.nhk.or.jp

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《講演中の佐藤実氏》
 
 さて今回私は、佐藤氏が主宰する「構造塾」の一環で『熊本地震 現地解体調査 報告セミナー」に参加したわけですが、家づくりする立場の一人として身が引き締まり大変ためになる内容でした。(大地震の被災状況は悲惨ですが、それを調査し得た情報をもとにした方策は今後に役立つと思いセミナーに参加しました。)
 御存知のように熊本地震は、震度7が2回続き、建築関係者でも想定を超えた地震で、建物倒壊レベルでは東北大震災を超える地震でした。(東北大震災では、地震そのものによる倒壊よりも、津波による倒壊が被災規模を拡大させたためです。)彼は、その地震直後から現地に入り調査をし続け、木造住宅の倒壊のメカニズムを研究し続けています。

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《倒壊物件の解体調査時の写真/セミナー時の資料より転載》この解体調査時には、多くの方が全国から集まりました。
「築年数の浅い木造住宅の倒壊」
木造住宅は、(壁量計算や四分割法、N値計算といった)簡易チェックをする事で、綿密な構造計算までしなくても良い事になっています。ところが熊本地震では簡易チェックをしていた築年数の浅い木造住宅でも倒壊に至りました。
倒壊の原因として考えられることは…
①一階の壁量が法の規定範囲程度だった。(更に大きくする必要が有った。)
②直下率(上下階の柱や壁が出来るだけ一致する割合)が低い建物だった。
③水平構面(二階床とその下の構造材の一体化)が弱かった。
・・・と佐藤氏は解説します。(当時報道された、軟弱地盤だけが倒壊の原因ではない点が重要です)

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《築年数の浅い木造住宅の破断状況/セミナー時の資料より転載》数百年に一度の地震と言われていますが、最新の建築構造金物を使用していても写真の様な状況になりました。こうした原因も、先述の3点が倒壊の引き金となっていました。
地震被害の無い木造住宅が在った」
 一方あの地震の際にも、軽微な修繕や被害無しという木造住宅もありました。その住宅は、先述の築年数の浅い建物とほとんど変わり無い時期に建てられたものでした。
 結論を先に述べますと被害の無かった木造住宅は、通常の法範囲よりも更に強度を高めた作りをしていました。専門的になりますが、倒壊しなかった住宅は《耐震等級3》で、築年数の浅い倒壊住宅は《耐震等級1》でした。
 佐藤氏は「(地震時に)命は守るが住めない耐震等級1の住宅ではなく、命も財産も守り、なお住み続けることができる耐震等級3の住宅にした方が良い」と全国のセミナーで唱え続けています。
※耐震等級は3段階有り、等級1は現在の建築基準法の範囲内で、等級1の1.25倍が等級2、等級1の1.5倍が等級3という取扱いになっています。
「今後私どものつくる家について」
 まずこれまで以上に丈夫な新築木造住宅を作る様にします。具体的には、平面計画によりますが、現在の法基準の1.25倍から2倍にする事が望ましいと考えます。(その際は有償になりますが、構造設計の専門家による検討と構造計算も行います。)
弊社は、より安全で、より快適な家づくりに精進してまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 

佐渡 小さな木造建物/小屋だけど、形もこだわる

目に飛び込んでくる花々だけでなく、気温がようやく春らしくなってきた感じのする佐渡島です。
「小屋だけど、形もこだわる」
 昨年、私どもは古材をリユースした納屋の新築をさせて頂きました。その際もお客様とのやり取りで建物の形が決まって行きました。
 そして今回の建物も用途は(物置)小屋ですが、私の提案をもとにお客様との色々なやり取りで建物の大きさや形を決めました。
(住宅の設計ほどではないにしても)小屋だから…という勝手な思い込みや決めつけをせず『お客様にとって望ましい建物を作りだそう』と考えてきた結果です。「^^」

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 建物の形は、長方形で片流れの屋根、というシンプルな形にしています。ただし屋根勾配を緩くし建物全体が高くなり過ぎない様配慮した矩計(かなばかり)寸法にしています。また道路から見える角には、出入り口の雨雪対策として木製の庇を取り付け、建物の見え掛りの重心を低く抑えようとしています。(庇も機能だけでなく、建物の良いアクセントになります。)今後作業が進み外壁が張られるとまた印象は変わってきますので、その時が楽しみです。

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佐渡 手続きを待つよりも安全確保を優先/バリアフリー床の設置

10年ほど前に外壁改修でお世話になった御客様が体調を崩され家で静養しておりトイレ改修を検討している…と介護保険関連の方から聞き、昨日急ぎ駆けつけた。
築40年で中廊下をもつこの住宅では、廊下から各部屋に入る際6センチの段差がある。お客様は自立歩行できるが、その段差で足を滑らせ転倒する時もある、と聞く。
「手続きを待つよりも安全確保を優先」
今回のトイレ改修は介護保険の助成手続きなどが済んだ後じゃないと着手できない。(仮に計画図や工事見積りを直ぐ作成しても、ケアマネージャーと自治体担当のやり取りだけでもかなりの時間が経過してしまう。)とはいえ、その手続きを進めている期間中に転倒しケガでもしたら大変である。
そこで私の思い付きではあるが、早急に中廊下の一部バリアフリー化する提案をさせて頂き、昨晩了承を得た。
「本格的な仮設床!?」
そして本日、中廊下の内頻繁に使う範囲をバリアフリー床にした。(大工スタッフ2名による半日未満の作業で完了。)
仕様は木材下地にラワン構造用合板仕上げ、といたってシンプルな作りにし、時間を見てクッションフロアーを貼る事も可能な状態にしている。(お客様の体調も踏まえ、作業を早く完了する事も意識した結果である。)
まずはこの対応で段差も無くなりお客様が転倒する可能性は低くなった。また仮設の様な仕様だが、これから15年ぐらいは十分使用可能だと思う。
お客様ご夫妻は安全確保ができたことで、安堵された様子だった。
これで自分もホッとできる。

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佐渡 亡夫が残した板を使って/納屋の外壁修繕依頼

昨年ちょっとした仕事ではじめてお世話になった方から連絡を頂き伺ってきました。
ご相談は「夫が残した板を使って、納屋の外壁を修繕して欲しい」という内容。
昨年の仕事で、弊社大工職人の技量を見込んでのご依頼でもありました。
ありがたいことです。
お母さんのお気持ちをくみ、真摯に現場を取り組ませて頂きます。

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材料は自然乾燥した杉板でした。
保存状態も良かったので、加工すれば十分使えます。

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佐渡 地産杉を多く使った小屋の新築/建て方

春先の天気予報を信じ過ぎてはいけないものだ、とミゾレ交じりの雨降る中思った本日です。
「建て方」
そんな天候のもと、地産杉を多く使った小屋の建て方を行いました。(なお土台と柱の一部には、国産桧を使用しています。)また今回は地産材を多用した事もあり、(島外でのプレカット加工をせず)若手の大工スタッフが墨付け・刻みを行いました。

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「大工職人による墨付け・刻み」
現場で久しぶりに会ったレッカーのベテランオペレーターも手刻みした木材の建て方は久しぶりだったらしく「家つくるのがプレカットばかりになってしまうと、そのうち古い家の改修なんかで柱の根継ぎや梁の部分取り換えといった事の出来る大工が居なくなってしまうんじゃないかね。」と心配されていましたが、私どもはそうならない様技術力を維持してゆくつもりですので、ご安心ください「^^」
建てたは良いが直す職人が居ないのは困りますよね。

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桐生新町 伝建地区で取り組む人たちと

私も一メンバーとして参加した研修旅行では、25日に日光を訪ね、翌日は群馬県桐生市の桐生新町に向かいました。
桐生市は古くから絹織物の町として発展してきた土地柄で、この重要伝統的建造物群保存地区(通称:伝建地区)は東北大震災の翌年(2012)指定され、これまでの5年間地元の関係者はいろいろと思考しながら地道に取り組んでいます。また伝建地区の歴史的建造物は、古い民家や社寺のほか織物産業に関わってきた商家や工場と付属建物で主に構成されています。(石造りの土蔵、のこぎり屋根の工場など)

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「伝建地区で取り組む人たちと/桐生修習の会」
 この伝建地区では市民のほか自治体職員や建築の専門家と学識者で構成される「桐生修習の会」が在り、修理・改修といった保存手法の検討だけでなく、再活用に関してもいろいろ意見交換し合い、実践しています。またこの会では、実際の修理や保全に関わる職人(大工・左官など)も会員として参加しているのが特徴で魅力的だと私は思いました。職人が関わることで修理に対する手法の共通認識(技術のバラつきの無い修理)が生まれ、より長持ちさせる工夫も見えて来ますので。

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《写真/織物工場をリノベーションしたパン屋さんにて》

 さて佐渡島には、宿根木という小さな集落が伝建地区に指定されていますが、この桐生新町の伝建地区は広いので、地元住民との共通認識を高めてゆくだけでもかなりの年数を要すると思いますが、こうした方々が居る事で確実に進んでゆくと思われます。また佐渡島では相川地区と西三川地区の2ヶ所が佐渡金銀山に関わる「重要文化的景観保存地区」の取り組みも始まったばかりなので、今回先進事例として訪ねた桐生新町は”良き先輩”として多くの事を学べました。これからも長くお付き合いできたらと思います。
「保存再生から活用へ」
 保存はあくまで建築技術による解決手法であり、いくら上手く修理を施しても(住む・商いするといった)人々から活かされなくてはいけない、とこの会の皆さんは考えています。そしてその活かし様が実に悩ましい課題であるのも現実として受け止めておられました。では佐渡島で、どうしたら少しでも再活用に向けた改善ができるかは、私自身にとっても生涯の課題であるように思った次第です。

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《私たちの研修が掲載された新聞/桐生タイムスより》
「桐生をあとにして」
幾つかの修理事例を見せて頂きましたが、こうした再活用事例が複数になる事で面白そうな場所(エリア)を生む出しそれが多くの人を導く様な場所になってゆく気がいたしました。
またこのブログでは書きませんが苦労話もお聞き出来たのは、とてもありがたかったと思っています。
桐生新町の皆様これからもよろしくお願いいたします。

日光 けっこうな研修/寺院の修復現場見学

関東方面に研修で来ております。

昨日は、日光東照宮や周辺で行われていた寺院修復の現場見学をして来ました。またここまで仕上げて来た経緯なども、現場責任者から話を聞かせて頂きました。

現場のスケールは自分たちの仕事から程遠くとても大きなものですが、それだけになかなか経験出来ない貴重な機会でした。

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全ての工程で、地元だけでなく全国から職人たちが参加し進めて来たそうです。こうした現場がある事で、(昔から残る)様々な職人たちの技術が受け継がられてゆくことも理解出来ました。

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