工務店 佐渡 takumi-2jamの日記

佐渡島で自然素材をふんだんに使った家づくりに取り組みながら、気ままに書き綴っています。

佐渡 しなしなと古民家/たいせつに

風そよぎ爽やかな晴れ間に佐渡島は恵まれています。
この時期は空も幾分高く感じられ、実に気持ちイイですね「^^」
・・・
昨日は”好きな壁”について書きました。
今日は古民家のリノベーション(改修工事)で、私たちが心掛けている事を(この現場を事例に)少しづつ書こうと思います。

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「たいせつに」
写真は、この現場に元々あった古い木製建具を再活用するため、大工スタッフが加工している光景です。
昔はどこの民家でもよく見かけた建具ですが、現在同じものを作るとなると1本あたり10万円は下らないモノですから、たいせつに扱い今後に活かそうとしています。(特に建具の塗装は、漆を使っていますので貴重です。)
ただし「もったいない」だけで、何でもかんでも使ってしまうと、新しい内部空間にまとまりが無くなったりしますので、再活用に際してはある程度の設計センスも必要です。

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《両津・大川(姫崎)から両津湾を眺めた今日の風景》

佐渡 しなしなと古民家/好きな壁があったら、イイですよね

9月に入りました。
佐渡島は晴れ間に恵まれた上に涼しく、快適な天候が続いています「^^」
「好きな壁があったら、イイですよね」
この改修工事でも、ある程度進んだ段階でお客様と現場打ち合わせをしてから仕上げて行く手法で進めています。造作を進める大工スタッフも気を利かせ「ここら辺で(川上は)打ち合わせする事だろう」と考えている様で助かりますし、お客様との意思疎通が甘い事でやり直しをする、といった苦労も無くなりますので現場の仕上がり具合も良い方向に向かいます。

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繰り返すようですが…現場が進むにつれ「図面に書いてあるのは、こんな風に仕上がって行くんだ」と納得するお客様も多いと思います。
この現場では「床だけでなく、壁にも無垢素材を使い、ご家族にとっての《好きな壁》を作りませんか?」を話し合い、写真の様な感じに仕上がってきました。
飾れる壁としてお子さんの描く絵を飾ってもいいし、壁板からの香り、室内空間のアクセントを楽しむのも良しだと思っています。
好きな壁=使い方自由で喜ばれる壁として、この家での生活を豊かにしてくれる気がしています。

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《今日の夕暮れ》



佐渡 古い木造校舎の再活用に際し/傷み具合・腐食を確かめる

ありがたいことに、古い木造建築物の修繕に関し声掛け頂く機会が多い川上です「^^」>
「古い木造校舎/傷み具合・腐食を確かめる」
 佐渡の南部に木造の古い分校があり、その校舎と体育館を再活用するための実施設計に、私どもも設計チームの一員として仕事しています。
今日は、大工スタッフが外壁の一部を剥がし、土台や柱の根元周りについての状況を調査しました。

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古民家や中古住宅の改修工事(リノベーション)でこれまで培ってきた経験はとても役立ち、現場ではそれぞれの場所による腐食の原因の違いも大工スタッフと話し合いました。

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『腐食のきっかけ(原因)の特定は大事!!』
腐食のきっかけ(原因)を特定しなければ、その場所を修繕してもまた腐食を繰り返すしかありませんので、そこが長持ちさせる改修工事の大事なポイントになります。
ちなみに今回多くの外壁で腐食の進んでいた場所では、雨樋の状況と敷地内排水の悪さ、外壁の納まりが原因であると考えています。
《雨樋》
木の多い場所に建つ建物の雨樋は、種子や枯葉に加え細かい土砂もすぐ溜まります。
それをそのままにしておくことでタテ樋の上部にある集水器がふさがり、樋も傷めつつ溢れやすくなった雨はタテ樋から外壁を伝う様になってしまいます。
雨樋の掃除を欠かすことなく行うか、詰まりやすい環境下での雨樋自体を取り外し(敷地内排水を改良した)地面の方で受け止めるようにするか、がこの問題を解決する手段だと思っています。
《敷地内排水の不良》
また敷地内排水が悪いと場所によっては池の様になり、相当の雨水が建物を攻めてくる事になります。
これはこの建物に限った事ではありません。
排水経路の確保と、詰まっている箇所の掃除などで解決を図る必要があると考えています。
《外壁の納まり》
外壁裾の水切り部分のディテールが甘く、雨水の侵入を容易にしている点が見受けられましたが、雨樋が役立無い状況になってから腐食のスピードを早めている気がします。
建築用語では雨に対する仕様の事を、雨仕舞(あまじまい)と言いますが、雨仕舞の良いディテールに変える事で問題は解決します。
・・・
上記の件、住まいの維持管理、これからの家づくりでも役立つ事だと思い、この場で掲載しました。
ご覧の方のお役に立てば幸いです「^^」/

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佐渡 しなしなと古民家/改修工事してます

朝から強めに降った雨は、ひとまず落ち着いた佐渡島です。
最近の雨の降り方は、急に大降りになったりして困ってます。
そして被害の無い事を願ってます。
「しなしなと古民家」
若いご御家族が、改修して古民家に住みたい!という相談を受け月日も経ちました。
御夫妻の努力により運良く物件にめぐり合い、検討を重ねた現在改修工事を進めています。
計画段階では、予算上の都合もあり全面改修といった思い切った事は出来ないまでも、家族が一番利用する領域(空間)に改修の重点を置いた事で、きっと喜んで頂ける事と思い私や大工スタッフは日々現場に通っています。

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またご夫妻は、私との打ち合わせが進むことで「近い将来自分たちが住む場所のイメージが描ける」様になってきました。初めて取り組む家づくりや改修工事(リノベーション)では、お客様自体が建築の専門家で無い訳ですし、お客様が理解していない状況を把握せず専門家面して進める事をしないで良かった、と思います。(これからもお客様が安心していられる家づくりに努めます)

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佐渡 私の夏休み宿題/青木淳講演会20170707atビュー福島潟

気温も30度を下回り、東寄りの風が心地良く、比較的過ごしやすい日々がここ数日続いている佐渡島です。
今日のブログは、過日(7月7日)新潟のビュー福島潟で行われた「(建築家)青木淳 講演会」を振り返った内容です。
※早いうちにこの場で記事にしようと思っていましたが、夏休みにずれ込んでしまいました。また長文も、ご容赦願います。「^^」>

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『はじめに』
 この講演会は水の駅「ビュー福島潟」の開館20周年を記念し、ニイガタケンチク探検の方々の熱意と努力で実現した貴重な講演会でした…と書けば簡単すぎるかもしれません。「この建物の、成人式をしたい」という彼らの熱意に打たれ、この建物を設計した建築家の青木淳も講演会の企画を快諾された、と聞きました。1か月余り経ちましたが、関係者の皆様お世話になりました。ありがとうございました。
・・・ 
『青木氏の設計に対する決定ルール』
 なぜそこに、そうした形で?という建築物に対する問いかけは、建築で意匠設計をしている人にとって(クライアント向けだけでなく)自身への命題でもあり、今回はそれが現在著名な建築家本人の口から語られるのは意義深かった、と私も思っています。

 青木氏は、一般的な設計要件(必要な部屋数や広さなど)に加え、「潟(かた)を知る」と事から始め「潟」が植生や生物種に富んでいる事を理解しつつ、初期のイメージは『水の深さによって異なる生物種を階層で表す』という(青木氏なりの)決定ルール※程度しか思い描いていなかった。
※決定ルールとは、青木氏の著書「原っぱと遊園地」(2004年王国社刊)で出てくる言葉。
しかし彼は別の決定ルールも採用しよう、と思っていた気がする。
その別のルールとは、熊本県で計画していた「馬見原橋(まみはらばし)※」での『道を建築に進化させる』だったり『ただそこ(潟)に在る』という意識だった。
※馬見原橋(熊本県のウェブより引用) http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_1677.html

ただしそれだけで形作るには余りにも曖昧過ぎる、そんな時ふと「アフリカの女王」という映画で「この建物の展望(眺望)の必要性・重要性・見せ方」に気づいた!

www.youtube.com↑ユーチューブより引用(下記2枚の写真とも)

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《ハンフリーボガートとキャスリンヘプバーンが出演したこの映画、二人が逃げ行く先に潟があり、疲れ果てている状況下でアシやヨシに先を阻まれ抜け切れないと途方に暮れる》

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《二人が途方に暮れていた場所が、実は湖に近い場所であった!という状況は、カメラがハイアングルになって初めて気づかされるシーン》
↑このシーンが、この建物を特徴づける設計ヒントになった。
つまり…潟は、周辺の土手や植物に囲まれているが、果て無く広がっている訳では無い事も特徴なのだ!
そして、その潟全体を来館者から程良く感じ取ってもらうには?と考えつつ新たな決定ルール『動線空間だけでつくる』にたどり着いた。

《注》彼が考えたいくつかの決定ルールそのものは、確かにルール(規則性に添う)であるが、ルール同士融和したりぶつかり合う事もスタディ段階ではよくある事で、それらを試行して行く事ことで新たな(新しいOR全く別物の)決定ルールが生まれる事も有る・・・と著書では述べている。

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ここでビュー福島潟における設計の決定ルールを整理してみると以下の様になる。
1:水の深さによって異なる生物種を階層で表す
2:道を建築に進化させる⇔道から進化した建築を
3:ただそこ(潟)に在る
4:動線空間だけでつくる≒あえて仕切られた空間にしない。

ただし3は、とても自由であり解釈が難しい「^^」>が、他の決定ルールから導き出された形状や、この建物自体がその地域のランドマークになっている事がそれを表している、と私は思う。
・・・
 以下に完成した建物の写真を数枚掲載しますので、青木氏の設計に関する決定ルールを振り返ってみてください。設計者である青木氏が自己中心的な奇抜建物デザイナーではない事が、よ~く理解できるはずです。(写真よりも、この建物を訪ねると一番実感できます)また使用されている建築材料も特徴ありますので、その辺りも現地でご確認ください。

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《地域のランドマークとなったビュー福島潟と展望螺旋の表現》

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《建物そばの様子》



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《施設対面道路からのアプローチ》

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《1階から上へ抜ける(つながる)大空間と二つの螺旋》

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《階層ごとの展示内容変化と眺望の良さ》
※床は緩いスロープになって、最上階まで続いている。

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《講演中の青木淳氏》

『振り返り』
 今回この記事を書くのに間が空いたのは、あの日あの場所での彼の言葉だけでなく文字(著書)を読んでから書こうと、私自身の気が変わったからに他ならない(苦笑)
しかし、そうすることで青木氏の設計手法の理解につながり、自分自身にとっても設計を進めて行く意義を見いだせた事は事実である。
 また個人的な意見だが、青木氏が世界的な建築家:磯崎新氏のアトリエで働きその後独立する際、当時の世間でポストモダン建築と呼ばれた建築物に対するシビアな判断や分析が今に生きている…そんな気がしている。
・・・
 彼の著書「原っぱと遊園地(2004年王国社刊)」に掲載してある建築短編随筆(?)の内、本のタイトルにもなっている「原っぱと遊園地」や「決定ルール、あるいはそのオーバードライブ」は、ビュー福島潟を見た後にお薦めします「^^」
=参考書籍=「原っぱと遊園地」2004年 王国社刊
      「G」2005年 中央出版アノニマ・スタジオ

佐渡 盛夏/海へと抜ける小路

朝方にかけて降った雨もあがり、薄雲の隙間から夏陽の射す日中に戻った佐渡島です。


「弊社のお盆休みについて」
お盆前は、御縁授かったお客様のおかげで忙しい日々を過ごす事が出来ました。
たいへん、ありがとうございました。
なお弊社は、本日(8/11)から16日まで、お盆休み(夏季休暇)とさせて頂き、17日から通常営業いたします。
※この期間中に予約したお客様とは打ち合わせをします。

「海へと抜ける小路≒良い抜け具合」
盛夏の佐渡島で私的に好きな風景は、海へと抜ける小路、だったりします。
車が通れないほどの細い道の先を進むと、海への景色がいっきに広がる、その瞬間が実に気持ち良いのです。

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建築の分野では、空間の広狭や天井の高低差、開口部の位置や視線の広がり具合がうまくミックスされた時に「この建物の抜け具合が、心地良い」と表現しますが、自分たちの作りだす家づくりの空間でもそうした「抜け具合」を意識して、暮らす人たちが心地良いと感じられるよう努めたいと思っています。
※写真は、相川の長手岬あたりです。海に近づくにつれ、海遊びをしている子供たちの歓声も聞こえてきました。
では、ご覧の皆様も、安全で充実した夏休みをお過ごしください「^^」/



佐渡 七夕祭りに

午前中のうちに進めている現場の段取りなどを済ませ、午後からは地元の七夕祭りに参加するため休ませて頂きます。

また本日は、私どもの仕事では欠かせなかった塗装職人Iさんのの1周忌でもあり、朝そっと手を合わせました。(彼も、私たちの仕事ぶりをあの世から見守ってくれる事でしょう)

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さて、七夕祭りでは炎天下の午後と夜の2回地元の子どもたちと山車を引き、充実して疲れ果てようと思っています。

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《鼓笛隊で頑張る小学生たち》

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明日からまた平常通り営業いたしますので、よろしくお願いいたします。