工務店 佐渡 takumi-2jamの日記

佐渡島で自然素材をふんだんに使った家づくりに取り組みながら、気ままに書き綴っています。

初春の佐渡に、種を蒔いた講演会と研究報告会

一昨日の夜と昨日の午後行われた「佐渡の近世社寺建築に関する講演会、研究報告会」に参加してきました。
初日の講演会では、文化庁の修理企画部門に所属する清水さんから「古い建造物の維持・保存」について国宝や重文を手本とした全般的な事をうかがいました。
清水氏の「修理を繰り返し行う事が、先人から伝えられた保存方法」という最後の締めくくりの言葉が印象的でした。
次に芝浦工大の藤澤教授による「佐渡の近世社寺建築」という講演では、1600年代初頭から造られ始められた佐渡の社寺建築の特徴や流れを聞く事が出来、大変ためになりました。
「近世の社寺建築が、形式を崩すことなく、程度の良い状態で残っている佐渡島は、誇りに思ってよい事ですよ」とおっしゃっていました。

また興味深かった話は…佐渡という島になぜこのように多く優れた社寺建築が建てられたのか…という話でした。
佐渡は江戸時代「天領」といって幕府直属の管理地で、本土の越後と比較にならないほど経済的にも豊かな”都市”であった。1次産業に従事していた農・漁民は、金山などで働く多くの人々にモノを売り、貨幣を得ていた。(島の中で経済の流通が大変良かった。)
その様な時代背景の中で、土木・建築に非常に学のある大久保長安が腕の良い棟梁と職人を佐渡に連れて来て、現在多く残る社寺建築が建てられていった…というのが過去の大きな流れの様です。

現代社会の様に国中不況で、超・高齢過疎地となった今の佐渡島からは、想像もつかない話の様ですが、歴史的にはそんな背景があったのですね。
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2日目の研究報告会ですが、仕事の都合により最終盤にしか参加できませんでしたが、最初から参加していた父に話を聞いたところ、大変良い研究内容だったと言っていました。

報告会が終わってから、学生と教授に話を聞きましたが、どちらの方も「佐渡の奥深さ」を大変うれしく思っている様子で、今後とも佐渡に出入りし研究を続けてゆきたいと抱負を語ってくれました。

※上下に掲載した竜の絵図は、佐渡の神社に有る梁に実際彫られた彫刻の原画です。このような貴重な資料も所有者のご厚意で今回見る事が出来、大変良かったと思いました。