工務店 佐渡 takumi-2jamの日記

佐渡島で自然素材をふんだんに使った家づくりに取り組みながら、気ままに書き綴っています。

新潟 ヘリマネ5-2/2//文化財と防災

ヘリテージマネージャー養成講座、略してヘリマネの未発表記事もたまってきております。
今回は旧・小澤邸で構造補強と共に行われた「文化財と防災」についての講義を振り返ってみます。

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講師は、工学院大学の後藤治教授で、この分野では第一人者と呼ばれる方でした。
ただし防災面でも、地震に対する補強は先述の梶井氏が講義をされましたので、後藤教授は火災に絞った話をされました。

国内の多くの文化財建築は木造ですから、基本的に防火面で弱いのを、耐火化することなく早期発見と初期消火や延焼に対して早く対処・防御するのが手法となっています。
ですが、いくら文化財といえども消防の鉄則である「消防のミッション順位」は、従来の消防と変わることは有りません。
=参考= 消防のミッション順位
①人の命を守る
②延焼(類焼)を防ぐ
③火を消す
…という順位です。

また人家から遠い文化財では、火災が発生しても気づくこと自体遅れる事の無いよう人家側に向け警報音を鳴らすスピーカーの設置や、作動式分布型感知器と呼ばれる装置を床下や屋根の軒裏に設置し出来るだけ早く火災に気づく様にしているものも有ります。
加えて、地域消防団の消防訓練も定期的に行い「住民も文化財を守る」という体制を作っています。(消防団については、高齢化した過疎地域では、難しい一面もあると思います。)

文化財でも町屋など住宅密集地域での火災では、見学者などの人命を守るため近隣の空き地を活用してでも避難できる様に、多方向の避難経路を考えておく必要が有ります。

そのため一般住宅でも登録可能な有形登録文化財の火災に対して、適切なアドバイスが出来る人材の確保が望まれており、ヘリマネがその指導を担う事も意味を成してきます。

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これまでのヘリマネ記事では、登録の仕方や古い建物の調べ方などについて触れてきましたが、ヘリマネには防災面のアドバイスもする大切な役割が有るということでした。

以上です。

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