工務店 佐渡 takumi-2jamの日記

佐渡島で自然素材をふんだんに使った家づくりに取り組みながら、気ままに書き綴っています。

佐渡 能舞台にて/初代鏡板現る

昨日は冷え込み朝方に雪もちらついた佐渡島ですが、今日は晴れ間も戻り、現場作業も順調に進むこの頃です。

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昨日から、能舞台の鏡板※の取り換え工事に着手しました。
※鏡板(かがみいた)は、舞台の正面奥にある、老木の松の絵が描かれた板のことで、舞台上の音を響かせるための反響板としての役目があります。佐渡島の能舞台を見る限り、図柄は一様ではない感じです。

今回の取り換えは二代目の(化粧ベニヤに描かれた)鏡板が老朽化したためですが、質の良い鏡板(三代目の鏡板)を譲り受ける事が出来た事も、この仕事の弾みになりました。

また今回の工事で私的に注目していたのは「初代の鏡板」を確認できる事でした。
いったい、どんな図柄が描かれているのか?
市役所にもその資料は無く、地元の高齢者でも知る人はいない状況でしたので、私としても貴重な機会に恵まれた気持ちでした。

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そのため昨日は、地元の氏子役員に加え、佐渡市文化財担当者や観光協会、能の専門家も会した中で初代の鏡板を確認する事になりました。
老朽化した二代目の鏡板も保管するため慎重にはずして行くと、徐々に初代の鏡板が現れてきました。

「初代の鏡板」

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これが初代の鏡板です。
色は薄れていますが、趣は残っていました。
また図柄自体は、幹や根元がダイナミックにうねるような図柄ではなく、渋めに老木の松が描かれている印象を私は受けました。
そして、この鏡板には、絵師の署名?とおもわれる文字も右下の方で確認できました。

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「古い釘穴?!」
そして更に気づいたことですが、この初代鏡板には鉄釘の穴だけが不自然に残っていました。(固定した部分以外にも釘穴が残っていました。)
もしかすると、この板は過去にいったん外されて、再利用された可能性もあるようです。
何故そう思ったか…この能舞台は大正13年(1924年)に建てられた訳ですが、同じ境内で文久3年(1863年)以前から能が演じられた記録も残っている為です。(引用:新潟観光ナビ http://www.niigata-kankou.or.jp/sys/data?page-id=9917 )

科学的な調査をすれば、この辺りも確認できると思いますが、仕事を始めたばかりでこうした歴史ストーリーに出会えることは楽しいものですね。

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明日は、作業の様子と三代目の鏡板について記事をアップする予定です「^^」