工務店 佐渡 takumi-2jamの日記

佐渡島で自然素材をふんだんに使った家づくりに取り組みながら、気ままに書き綴っています。

佐渡 移住された若い二人のために/小さな改修工事

初夏を思わせる日差しと爽やかな風吹く佐渡島です。
下記の理由で、久しぶりに長めの記事となります。
中古住宅を購入し、改修工事をご検討されている方たちのお役に立てば幸いです。

『ご縁:出会いと状況』
 購入した中古住宅の気になる腐朽や傷みの修繕で相談をお受けしたのが、お二人が海外から佐渡に移住してきてわずかに日の経った頃。このブログやフェイスブックで、私どもを見つけ連絡メールを受けてからでした。

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 その家は築50年近く経った建物でした。
雨漏りといった大きな不具合がなかったものの、昭和期の新建材が老朽化していました。具体的には床(フロアー材)全体の傷みがひどく、部分的に沈む(フワフワする)箇所が多い状況でした。

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《改修工事前の状況》

『思考1:この家で生活してゆく中、何が一番不自由で、何が今のところ我慢できるか』

 とはいえ島に住み始めたばかりのお二人ですから、修繕・改修にまわす予算的なことも出来るだけ無理の無い様に努める共通認識で、的を絞った改修工事をすることにしました。
 そして生活してゆく中、何が一番不自由か=どこを直せば快適な生活ができるか、を話し合った結果、台所・食堂の改修工事をすることになりました。(その打合せの中、今のところ我慢し、状況を見て将来対応することも話し合っています)

『思考2:修繕(直す)だけでなく改善』
 改修工事に取り組む前に、改修後の快適な生活をイメージして計画することが大切です。改修工事では、住む人の動きやすさや使いやすさを考える良い機会ですから、悪いところだけ直せば快適になるとは言えません。私からの提案も含め打ち合わせを重ねてゆくことで、必ず良い方向に向かいます。

 なお計画を進める際には「何をどこに置く」といった家具や家電のレイアウトも大事な要素です。また改修工事では、仕上がって目にする部分だけでなく、断熱性や耐震性の向上といった仕上がると見えなくなる部分へも配慮と施工が必要となります。

『判断:原寸(現場)は語る』
 計画を煮詰めてゆく過程で図面を幾度か修正しますが、図面が絶対かと言えばそうでもない!と思っています。大筋の部分でお客様と共通認識は出来つつも、立体的感覚での共通認識は図面よりも”原寸で語り合える現場”が一番だと私は考えています。
 そのため私は、作業中の現場での打合せに重点を置いています。私の経験上でスト、コンセントの位置や数、仕上方など現場がある程度進んでから変更が出やすい部分です。

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《壁を外した後、工事関係者でミーティング+お客様現場打ち合わせ》

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《作業中:断熱性の向上》
『仕上:より満足のゆくものに』
 現場の進み具合に合わせ、お客様との打合せもしてゆくことで、住み手・作りて双方納得できるものに仕上がります。

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・改修後の台所・食堂
床仕上げは、国産杉に蜜蝋ワックス。壁はクロス貼り。天井はローコスト化を考慮し既存のまま残し、塗装で白く色付け。

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《台所・食堂から隣の部屋を見る》
重ねた打合せで「ほど良く仕切られたワンルーム」に。
流し台と高さを揃えた腰壁でほど良く仕切りました。
木製建具は、既存のもの(ガラス障子)を再利用し、アクリ板で雰囲気を変えました。

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《和室から台所・食堂を見る》
もともと在った和室の雰囲気を残しつつワンルーム化したことで、広がり、動きやすく仕上げました。お二人が海外から移住し、畳や和風の天井が気に入って残した訳ですが、余計にいじらないことでローコスト化にも貢献しています。
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今回はブログご覧の皆様に分かりやすくしようと長くなりましたが、私たちはこんな感じで仕事を仕上げています。
木造住宅の修繕や改修でお悩みの際は、ぜひお声がけください。
長文のご一読、ありがとうございました。

川上工務店 川上巧

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