佐渡 稀な機会に感謝し記録/茅葺き民家の屋根下地修繕
初夏の風吹き爽やかな晴れ間が続く佐渡島です。
古い民家の改修に多く関わってきた私どもにとりましても稀な機会なので、忘備録として、そして後世の職人に役立てばと思い、このブログで記録します。
「茅葺き民家の屋根下地修繕」
数日前から、茅葺き民家の屋根の下地修繕に取り掛かりました。
見かけることも少なくなりましたので、茅葺き屋根といっても、現代ではピンと来ないかもしれませんね。下記ウィキペディアを参考までにリンクします。
《屋根の既存状況:屋根先端を支える部分(茅負やツナギ梁先端)がなくなっていた》
今回私たちは、茅葺き屋根の軒先部分にある「茅負(かやおい)」やそれを乗せる為の「ツナギ梁」の取り換え作業をしました。写真の通り既存の茅負とツナギ梁は雨漏りで腐食が著しく進み、屋根を支える強度も無くなっていました。
また今回取り換えるツナギ梁は元々「しの字型」で、材料の準備も簡単に行かないものでした。木の根元部分を使う(木取りする)想定で図面を書き材料の発注をしたところ、運良く手に入りましたので、図面だけでなく現場から丁寧に取り外してきた物と形をそろえて作りました。
茅葺きの民家は、(後世の改修で建材が使われた部分を除き)すべてが自然素材で作られています。風雨にさらされる屋根は特に経年劣化に対し注意が必要です。(なおこの現場では屋根そのものだけでなく、周辺の木々を刈り取り環境を整えることも建物を保護する上で大事なことであると思いました)
現代では茅葺き民家の空き家化に加え維持費用※と職人不足で、維持管理もままならない状況です。それゆえにこの度は、貴重な修繕の機会を経験させて頂きましたが…どんな建物でも住まい手(管理者)による異常個所の早期発見と早期対応が維持管理費用を抑えられますので、早く気付く様ご注意いただきたいと思います。