工務店 佐渡 takumi-2jamの日記

佐渡島で自然素材をふんだんに使った家づくりに取り組みながら、気ままに書き綴っています。

佐渡 御堂の部分改修/無事終える

二日晴れては三日雨という頃を過ぎ、佐渡島は本格的な春を迎えたような気がする。
現場に向かう道すがらも、春花の彩が美しい。
「無事終える」
進めてきたこの工事も、本日で大工工事を終え一区切りとなりました。
あとは茅葺き職人さんへバトンタッチすることに。
屋根葺く際は、また足を運びます。

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以下、忘備録を兼ねたメモを書いておきます。

1.雨漏りは、早いうちの対応が大事
 今回の改修では、桁周りの材料が腐食するまで雨漏りさせ続けていた!ことが大工作業を大幅に増やした。特に茅葺屋根の雨漏りでは、瓦や板金屋根の様な防水層が無く茅自体も腐食が進むので、雨漏りを見つけた際は早急の対応が大事である。
2.茅葺屋根の骨組みは、実に簡易な構造だ!
 茅葺き屋根の下地(桁から上の構造)は、考えていたよりも実に簡単に作ってある事に驚いた。叉首(サス:屋根の勾配なりに取付けている丸太)にしてもカスガイで留めてある程度である。そして叉首に丸い竹を直行方向で縛り付け茅葺きの下地にしている。
 桁から上の部分は、がっちり木組みしている訳では無く、ただ乗っかっている状態の簡単な作りをしているのが茅葺き屋根の特長であり、それがゆえに昔は誰もが葺き替えに参加した結(ゆい)という屋根の互助も出来た気がする。
3.茅葺き屋根をコンディション良く維持には??
 屋根材の茅やヨシは植物だから、虫も付くし、土や水の条件が整えば腐り屋根の上で腐食する(土にかえる)。つまり放っておけば傷みも早い!ということだ。
 では茅葺き屋根を維持し続けるにはどうしたら良いのだろう??
自分としては、内部で火を焚き、煙で虫を除け、ゆっくりと乾燥させるのが良い気がする。

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佐渡 現場オーダーメイドリノベ/古民家の改修現場

風の暖かさとか、海山の景色が日に日に春らしさが増す佐渡島です。
写真は撮ってませんが、梅が咲き始めました。
「楽しい打ち合わせを心掛け」
 現在ゆるめ!?に工事を進めている古民家のリノベーション。
何故ゆるめかと申しますと、ある程度進んだ現場でお施主様の希望を聞きつつ私からのいろいろな提案をしながら進めているからです。
その分打ち合わせ時間や工期も長くなるデメリットもありますが、お施主様が楽しめて納得できるメリットの方を優先しました。あえて名付けるなら「現場オーダーメイドリノベーション」とでも申しましょうか「^^」>
 今日の打ち合わせでは、コミック本の蔵書が多いご家族の本棚をどんな風にレイアウトしてゆくか!をお題に現場で打ち合わせを行いました。下の写真で床に並べてあるものが本棚の位置と仮定しながら打ち合わせしました。

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 当初の計画でも、この部屋を図書室に!と決まっていたのですが、隣り合わせる部屋とのつながり方もいろいろ考えられることから、現場でわかりやすくアレコレと思考(試行)してみた次第です。
 ちなみにこの部屋の床は、(重くなるであろう)本棚をどこにおいても良い様に根太の間隔を狭くして下準備してあります。

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今回もお客様が「アッ!この提案(方法)って、スゴク良いし楽しみ!!」となり、ハッキリした方向性が決まりましたので、それを図面化し再検討してから現場に指示を出す事になります。

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佐渡 御堂の部分改修/現場での摺り合せ

春の晴れ間に恵まれたといえ、東方から吹く風は寒い佐渡島です。
ご覧の皆様、この時期の風邪と花粉症には十分ご注意ください。

「現場での摺り合せ」

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刻み終えた後に工場で仮組みをしましたが、現場ですんなり納まるか!といえば中々そうは行かないのも古い建物の仕事だと思っています。

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経年変化でよじれた木材に、新しい材料を摺りあわせて納めるのも、大工職人の技術です。

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現場作業は順調に進んでいますが、そうした摺りあわせ加工に時間がかかる事もあり、このブログ上でもどこが進んだの?と思われるかもしれませんが、記録の意味もあって掲載しておりますのでご理解下さい。

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《本日の両津湾/両尾の海岸から眺めた大佐渡の山々》

佐渡 御堂の部分改修/いよいよ現場に!!

本日の佐渡は、曇り時々晴れの天候に恵まれました。
春入り始めの冷たい風が吹いており、春ウララ♬とは行かないまでも、陽射しを浴びると気持ちが良いものです。

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「いよいよ現場に!!」
昨日下準備を済ませ、今日から大工スタッフが現場作業に入りました。
=現場の状況=
この現場の状況を説明しますと・・・茅葺き屋根の隅で雨漏りが進み隅の扠首(さす)がひどく腐食し折れ、構造材の要となる桁(けた)も腐食、そして隅木(すみぎ)まで傷み折れた状況でした。わかりやすく説明すると「茅葺屋根の雨漏りにより、屋根を支える重要な木材の幾つかが腐って折れた状況」という事になります。
 また茅葺き屋根は瓦や板金といった住宅の屋根の作りと異なり、茅葺きの厚み自体で防水兼仕上げとなっています。
=工事の流れ=
 今回の工事の流れとしては、まず施工する範囲の茅を取り、骨組みも茅に近い順番にはずして行き、腐食した材料を新しい材料に取り換えたらまた屋根の骨組みを作って行く・・・そんな行程になります。※ですが、文字でさらっと書くほど、工事はけっして容易ではありません「^^」>
以下、今日進めてきた作業の写真をアップしておきます。

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《作業開始》

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《腐食部分の先端を切り取り外す作業》

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《残りの小屋の骨組をはずす》

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《軒先を支えるハネ木をはずす》

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《休憩時の全体ミーティング/安全に!手際良く作業するため》
という流れで一日を終えました。
 私どもが普段取り組んでいる家づくりと一線を画す工事内容ですが、お客様の何とかしたい!に技術で向き合う姿勢は変わりなく、佐渡島に残る貴重な建造物の保全や修理に関われることを、たいへんありがたく思っています。



佐渡 まちづくり的セミナーに参加/コミュニティデザイン??

佐渡島も、ようやく春らしくなりました。
SNS上でも、佐渡フキノトウが顔を出し始めております「^^」

「まちづくり的セミナーに参加」
もの好きと思われるかもしれませんが…本日(月曜日)の午前9時から相川で行われた「まちづくり的セミナー」の講演を聞きに行って来ました。
講師は、山崎亮氏。(東北芸術工科大学教授で、コミュニティデザイン学科長。(株)スタジオ・エル代表)
内容は前半が講演、後半はワークショップという形式で「相川の歴史と文化を活かしたまちづくりを考える」という流れでした。※ワークショップは都合で参加してません。
住民参加型の総合計画づくりと北海道のお寺での檀家による寺活性化という2つの具体的事例をもとに話され、字面だけでない「住民参加型の取り組み」を示してくれました。

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彼の話を聞きメモしたのは以下の通り。
①事前調査と整理、進め方をイメージしていないワークショップをしてはダメ!(それよりも事前準備が重要!)
ワークショップを行うには、まず少人数の方たちへ会いに行きいろいろ意見や考えを聞き整理し、初めの少人数から人の輪を広げてはまた意見を聞き整理しつつ、ワークショップの為の準備に入る手法をしている。
※会いに行き意見を聞くのは、その人の背景や環境といったものを聞き手が感じ取れるし、個人的な意見・考えを引き出し易いメリットがある。一部屋に数人集めて意見を聞く環境では個人的意見よりも最大公約数的で誰もがそう思う意見しか出てこない。
②参加者の意見や情報収集と同時に関係者を育てる!
総合計画であれば自治体関係者にファシリテートやアイスブレイクといった「参加者から考え・意見を引き出し整理する人の養成」も行い、将来を担う人を育てる。そうすることで、自治体と住民のコミュニケーションと意見集約
③自治体やコンサル任せにしない進め方!
行政にやらせればいいや、それなりにコンサルタントがまとめてくれるだろう・・・といった地元住民の寄りかかり過ぎの考えを無くす進め方に徹することで、そこに住む人々が「住民である自分たちが出来る事」の意識を持ち行動に結びつける。
※住民が出来ない事についても、どういう形で出来るかは意見交換の中で成熟してゆく事になる。
以上!メモはこの辺で。(他にもありますが、長くなるので)

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《お寺の活性化に向け/講演会でのスライドより》

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《講演中の山崎氏》
そうした合意形成、そして形にし、将来に繋げてゆくことを「コミュニティデザイン」っていうのも、恥ずかしながら今回参加して初めてわかりました。また多様な意見を引き出し整理するファシリテートの意義も再認識した次第です。
=あとがき=
週初めのこの時間!なので、申し込む際も躊躇しましたが、結果的にはとても身になるものでした。
ただし、こうした話を聞いたわりに、整理のついていない文章ですいません「^^」>

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《相川の大浦にて/海藻をとっている漁師さん》

佐渡 毎度の古民家リノベをスタート

古民家のリノベ(改修工事)を、そろりと始めました。
この仕事では、一度に全部改修するというよりヴィジョン持ちつつ少しづつ進めてゆく様な感じになります。
まずは床の部分改修からスタート。
既存状況の調査(インスペクション)から、床下地は腐食していない大きな材料を残し、大半は新しくする方法で対応します。

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ただし座敷で使われていた「アテビの床材」はまだしっかりしていたので、丁寧に外しこの現場のどこかの行程で再活用するつもりです。

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そして本日、お客様の休日に合わせこれまでの状況や今後の進め方の説明をさせて頂き、安心して頂きました。

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佐渡 スタディ模型/相互理解しやすい打ち合わせのため

どうも寒い冬は、まだまだ続くようだ。
今晩から明日にかけて、佐渡でも厳しい冷え込みが予報されています。
ブログをご覧の皆様も、体調管理と凍結予防にお気をつけ下さい。

「スタディ模型」
大工スタッフが現在進めている現場監理に加え、計画や設計も同時進行中です。
今回ここで紹介する計画は、短冊の様に細長く、奥に行くほど狭まっている敷地に建つ(御夫婦が中心となって営む)飲食店。
平面計画は営業時の動きやすさなどを考慮し、ほぼ煮詰め終えているところですが、立体的なこと(断面や高さ、形状)は、どうも図面じゃ伝えきれない!ので、スタディ模型を作り打ち合わせしました。

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打ち合わせ時は「私が検討したり、お客様との相互理解を深めるためのスタディ模型なので、これが完成形ではありません」と前置きしたのですが、御夫妻は立体的にわかりやすくなった点を、とても喜んでくれました。今後の打ち合わせ(内部を煮詰める段階)でも、図面よりスタディ模型優先で進める事になると思います「^^」>