佐渡 小さな木造建物/地産材(資源)を意識して使う。
寒の戻り、と呼べるような荒天の佐渡島です。
また荒天に伴い、佐渡汽船のジェットフォイルも終日欠航する状況でした。(カーフェリーは運航しています。)
「地産材(資源)を意識して使う」
最近では、佐渡島の新築木造住宅の骨組み材(構造材)も、島外の工場で機械加工して輸入※する方法(プレカット)が主流となっています。※佐渡島には、プレカット工場がありません。
私も主流というだけでなく、プレカットの長所を理解しますが、一方で佐渡の林業や大工職人の技術力維持を考えると、その長所だけに頼っていてはマズイ気がしております。無垢材を使用した本物志向のリノベーション(改修工事)では、高い大工技術の必要性を強く感じます。
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前置きが長くなりましたが、このたび小さな木造の建物を建てる事になり、(お客様との打ち合わせして)『意識して佐渡産の木材を使う』ことにしました。また木材の納材において業者の方には、価格や含水率についての条件を付け加えさせて頂きました。
佐渡に木材の人工乾燥できる施設は有りますが、稼働率は極めて低い状況の様です。そのため今回私どもは、ある程度自然乾燥した材料を選びました。
《佐渡産の杉柱》
「ハッキリした意識と変革」
自分たちが木造住宅などの作り手として「佐渡の木を使いたい」とハッキリ言い、製材所や森林組合といった生産側の意識を高め今後に繋げたいと思っています。
これまでのように「乾燥した木材なら、島外から電話1本で仕入れられるよ。」では、仕入れ段階で交渉しかねます「^へ^」>
また価格面も国外輸入品などに対応できるよう意識して頂きたく思います。
国外から化石燃料を使い船便で輸入した木材より、地元のモノであれば地元の経済活性にも直結しやすい、と考えませんか「^^」
《弊社工場での小規模製材》
「意識から持続へ」
せっかくの地産資源ですし、私どもはこれからも意識して使い続けますので、生産関係の方々も意識して生産してくれることを願ってます。またこうした取り組みをする施工者が増える事も期待しています。
佐渡 催しのご案内/空き家の活用
趣旨を御理解頂いた上で、御都合のつく方は、是非お出で下さい「^^」
佐渡 古材をリユースした納屋の新築/その後
まだ寒いものの、雪溶けた足元では春の近づきをゆるりと感じる今日この頃の佐渡島です。天気予報でも雪ダルママークの出る日はあっても、地元の人から見れば”残る雪では無く、すぐ溶ける雪”という印象を持つ時期に入りました。
「その後」
昨年末に仕上がったこの建物ですが「(内と通じやすい)屋外での作業スペースを」という話となり、冬の天候を見ながら作業を進めてきました。
そして先日この工事も終え、この建物は更に豊かになりました。
今回の作業は、(港湾や岸壁のデッキ材としても使用されている)耐久性の高いマサランを使用した屋外床(ウッドデッキ)を作り、ヒノキと杉材でスリット付きのソデ壁を付け加えました。これでこの建物の使い道や作業性も上りましたし、長く使用してゆけると思います。
私としても、単純な形状をしたこの建物が、使い込まれゆく経年変化でどんな風に渋くなってゆくのかとても楽しみです。
佐渡 古い御堂にて/現状を知る
雪残る過日、仲間とともに或るお寺で御堂の調査を行いました。
我々に調査依頼してくれた御住職は、経年で歪んだり傾いたこの建物を矯正し、大切に使い続けたいと願っています。
「現状を知ることが大事」
住宅の改修工事(リノベーション)と同様に、まず大事なのは『現状調査』です。
概略で平面図を書いた後で採寸をし、傾きや腐食箇所の有無など今後に必要な情報を盛り込んでゆきました。
これら現状調査の情報を図面化したり整理したうえで、今後の修繕施工の方針を取りまとめて行く事になります。
今回の調査内容と直接関係しませんが、見入ってしまうモノも有りますね「^^」
たとえば…内部の天井は格天井(ごうてんじょう)となっており、天井板の1枚づついろいろな動植物が描かれています。内陣前の桝組みの着色も鮮やかです。
佐渡 神社の床修繕完了/畳職人へつなぐ
荒天が続く佐渡島です。
先日取り掛かった神社の床修繕では、大工作業も順調にはかどり造作仕事を終えました。
床仕上げは、ヒノキ無節の広幅物。上り框はアテビの仕様です。
また写真では見えませんが、床板を支える根太もヒノキで対応しました。(どんな修繕・改修でもそうですが、長持ちさせる方向で取り組んでおります「^^」)
本日も荒天で強風の吹き荒れる寒い中でしたが、畳職人が現場採寸をしに駆けつけてくれました。
現場では、造作を終えた直後でもあり、仕上げた木々は香っておりました。
佐渡 古い町屋にて/調べつつ今後に活かそう
下り坂の天候の中、島内の某所で古い町屋の調査をしています。
今回訪ねたのは、所有者が年に数度戻ってくる”空き家”でした。
現状は、雨漏りや隣家からの雨水侵入といった傷みのひどい部屋も有る建物ですが、雰囲気の良さげな場所、なるほど!と思う場所も有りました。
今後の自分たちの家づくりやリノベーションで活かせそうな良い点は、(傷みの調査をしつつも)こうした古い家からも学べる気がしております。ただしこの時代の建物は、無断熱で寒いことこの上なしでした「^^」>
「台所・食堂」
写真は、この町屋の中庭に面した台所・食堂です。
片流れの天井は2100ミリぐらいから屋根勾配に合わせ高くなっていて、一部トップライトを設え光が差し込む工夫がしてあります。
床の素材は杉板突合せ。壁・天井はベニヤ仕上げでした。
「2階階段周り」
もうちょっとスッキリしていたらもっといい感じになっているかも、と思ったのがこの場所でした。しかし町屋の奥まった場所で採光の工夫をしている点は、参考になります。
「2階の天井」
以前見た小木の町屋でも矩計の低いこうした天井納まりを見た事はありますが、この物件では更に低い高さから緩くカーブを描くように天井は高くなっています。実際測ってみると天井高さは1600ミリから1860ミリとかなり低く、現代人であれば頭をぶつける様な高さですが、開口部と天井の取り合いがスッキリしている納め方は参考になりました。
「視点を変えて見る」
雨漏りや傷み、腐食した場所の修理だけでなく、断熱・気密化を考えたらとても、とてもと後ずさりしそうな物件ですが、過去この場所で工夫して建てたり改造してきた点に視点を合わせると”空間的な良さ”は感じ取れると私は思っています。
《注》この物件は、売買物件ではありません。
調査してみて思った事は、家を使い続けようと思うのであれば、使用のたびに家の傷みが無いかを確認した方が良いという点です。家の傷みも体と同じように、早期発見と早期対応が肝心です。