工務店 佐渡 takumi-2jamの日記

佐渡島で自然素材をふんだんに使った家づくりに取り組みながら、気ままに書き綴っています。

佐渡 地産杉を多く使った小屋の新築/建て方

春先の天気予報を信じ過ぎてはいけないものだ、とミゾレ交じりの雨降る中思った本日です。
「建て方」
そんな天候のもと、地産杉を多く使った小屋の建て方を行いました。(なお土台と柱の一部には、国産桧を使用しています。)また今回は地産材を多用した事もあり、(島外でのプレカット加工をせず)若手の大工スタッフが墨付け・刻みを行いました。

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「大工職人による墨付け・刻み」
現場で久しぶりに会ったレッカーのベテランオペレーターも手刻みした木材の建て方は久しぶりだったらしく「家つくるのがプレカットばかりになってしまうと、そのうち古い家の改修なんかで柱の根継ぎや梁の部分取り換えといった事の出来る大工が居なくなってしまうんじゃないかね。」と心配されていましたが、私どもはそうならない様技術力を維持してゆくつもりですので、ご安心ください「^^」
建てたは良いが直す職人が居ないのは困りますよね。

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桐生新町 伝建地区で取り組む人たちと

私も一メンバーとして参加した研修旅行では、25日に日光を訪ね、翌日は群馬県桐生市の桐生新町に向かいました。
桐生市は古くから絹織物の町として発展してきた土地柄で、この重要伝統的建造物群保存地区(通称:伝建地区)は東北大震災の翌年(2012)指定され、これまでの5年間地元の関係者はいろいろと思考しながら地道に取り組んでいます。また伝建地区の歴史的建造物は、古い民家や社寺のほか織物産業に関わってきた商家や工場と付属建物で主に構成されています。(石造りの土蔵、のこぎり屋根の工場など)

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「伝建地区で取り組む人たちと/桐生修習の会」
 この伝建地区では市民のほか自治体職員や建築の専門家と学識者で構成される「桐生修習の会」が在り、修理・改修といった保存手法の検討だけでなく、再活用に関してもいろいろ意見交換し合い、実践しています。またこの会では、実際の修理や保全に関わる職人(大工・左官など)も会員として参加しているのが特徴で魅力的だと私は思いました。職人が関わることで修理に対する手法の共通認識(技術のバラつきの無い修理)が生まれ、より長持ちさせる工夫も見えて来ますので。

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《写真/織物工場をリノベーションしたパン屋さんにて》

 さて佐渡島には、宿根木という小さな集落が伝建地区に指定されていますが、この桐生新町の伝建地区は広いので、地元住民との共通認識を高めてゆくだけでもかなりの年数を要すると思いますが、こうした方々が居る事で確実に進んでゆくと思われます。また佐渡島では相川地区と西三川地区の2ヶ所が佐渡金銀山に関わる「重要文化的景観保存地区」の取り組みも始まったばかりなので、今回先進事例として訪ねた桐生新町は”良き先輩”として多くの事を学べました。これからも長くお付き合いできたらと思います。
「保存再生から活用へ」
 保存はあくまで建築技術による解決手法であり、いくら上手く修理を施しても(住む・商いするといった)人々から活かされなくてはいけない、とこの会の皆さんは考えています。そしてその活かし様が実に悩ましい課題であるのも現実として受け止めておられました。では佐渡島で、どうしたら少しでも再活用に向けた改善ができるかは、私自身にとっても生涯の課題であるように思った次第です。

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《私たちの研修が掲載された新聞/桐生タイムスより》
「桐生をあとにして」
幾つかの修理事例を見せて頂きましたが、こうした再活用事例が複数になる事で面白そうな場所(エリア)を生む出しそれが多くの人を導く様な場所になってゆく気がいたしました。
またこのブログでは書きませんが苦労話もお聞き出来たのは、とてもありがたかったと思っています。
桐生新町の皆様これからもよろしくお願いいたします。

日光 けっこうな研修/寺院の修復現場見学

関東方面に研修で来ております。

昨日は、日光東照宮や周辺で行われていた寺院修復の現場見学をして来ました。またここまで仕上げて来た経緯なども、現場責任者から話を聞かせて頂きました。

現場のスケールは自分たちの仕事から程遠くとても大きなものですが、それだけになかなか経験出来ない貴重な機会でした。

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全ての工程で、地元だけでなく全国から職人たちが参加し進めて来たそうです。こうした現場がある事で、(昔から残る)様々な職人たちの技術が受け継がられてゆくことも理解出来ました。

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佐渡 難しい仕事の機会を楽しむ/改修工事

takumi-2jam.hatenablog.com3
この場で3月4日に書いた現場では、解体後に残した部分の改修工事に取り掛かっています。なお解体した部分には、後日”古材の棟木をリユース(再活用)した”新しい建物を建てる予定です。
「難しい仕事の機会を楽しむ」
 この現場では(私どもが関わる前から)過去に数回増改築が行われており、現場はとても入り組み複雑な状況になっていました。そのため今回の改修計画をスムースに進めるには、大工スタッフが程良く内部解体したら補強や補正を施し、次の作業にうつる流れとしています。文字で書くとそうでもないようですが、内部解体直後にどういう対応をしたら良いかを早く方向づける必要が有り、大工スタッフとの現場ミーティングもこの現場ではこれまで以上に細心の注意をはらってきました。

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 自分たちのここ数年の仕事を振り返りますと、難しい仕事をする機会が増えている気がしています。現場調査をし複数の課題を机上で思い描き、大工スタッフと現場でアイデアと技術を出し合い課題を解決を繰り返す様な内容の仕事です。
面倒な仕事といえば確かにそうなりますが、私はありがたく思っています。私や大工スタッフのこうしたか現場での経験は、いつか出会うお客様への糧になる事は間違いないからです。
「課題解決から機能充実へ」
つい先日いろいろあった課題も解決しましたので、現場を順調に進めてゆけると思います。(お客様ご家族も、安堵された事と思います。)
さて、この現場でも今後は断熱改修をしお客様が年間通じて快適に過ごせる室内環境をつくりだそうとしています。問題解決から機能充実へとステップアップし始めました「^^」

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佐渡 地産材による物置の新築/基礎工事順調に

 卒業式の多かった昨日は、名残り雪の降った寒い一日でございました。(ここ数日は、例年かなりの確率で雪が舞う日でもあります。)
「基礎工事順調に」

佐渡島の地産材で作り上げる「木造物置の新築工事」現場では、過日から基礎工事に取り掛かり順調に進んでいます。

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先日、基礎立ち上がりのコンクリートを打設し終えましたので、明日から天候を見て天端モルタルを施します。
そして来週中には、建て方を行う予定です。(晴れ間が続く事を願ってます。)

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大変ローカルな話題ですが、今日は両津の両尾(もろお)地区に在る宇賀神社のお祭りが行われます。(写真の三角形に見える山の頂上に在る神社です。約500段の石段を上ります)
私も小・中学生の頃友達とよく行きました「^^」



佐渡 御堂の修繕/チーム作り

縁が縁を呼び、島内に建つ御堂の修繕にかかわる事になりました。
と申しましても、私はアドバイザー?的な立場での参加となります。

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地元を大切にし続けている御前さまの意向により「地元の職人たちで何とかしよう」という事になり、今年に入ってからヘリマネ仲間と現状調査を行い、図面化したうえで修理方針を考えてきました。

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 そして今日は、その関係者(職人たち)が一堂現場に集い、修繕方針や手順などそれぞれの立場で話し合いの機会もちました。この話し合いの理由としては、修繕仕事の場合、職方の入るタイミングが狂うと工事の進み具合にもマイナスに影響しますし、誰がどこまで担当して誰にバトンタッチするかという流れは各自わかっていても、その接点の責任が不明瞭だと変な押し付け合いにつながってしまいます。そういう不明瞭になりやすい部部分を前もって話し合っておくことが大切です。
 その場で初めて会う方が多かった今日の話し合いでしたが、お互いが信頼できる良いチームをこの工事でも作ろうと私は思っています。

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佐渡 立木の伐採に立ち会い/活かします!

 昨日から今日にかけ、島内での立木伐採に立ち会ってきました。

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「伐採に至る経緯と新たな使い道」
 伐採される木々は、これまで住宅の建つ隣地境界沿いに植えられ、防風林として役立ちつつ、農繁期はハゼ木をかけて稲の天日干しにも活用されてきました。
当初住まい手の高齢化で枝葉の処理など維持管理ままならぬ状況となる前に伐採しよう、という事になりました。その後、この家の親戚で改修工事をする予定があり、この木材を使えないだろうか、という新たな使い道が加わり今日に至った次第です。
木は杉が主で、ケヤキが数本混じっております。(樹齢は平均して50年ぐらい)

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「木を伐るプロフェッショナルの姿を凝視」
 私も久しぶりに見ましたが、チームプレイで手際良く木を伐るプロの仕事ぶりは、凝視するほど実にエキサイティングでした。
 今回は、木の上部の枝にワイヤーを玉掛けしレッカーで吊った後、下の作業員が地上10m近い高さでチェンソーを使う流れで伐採が行われました。立木を丸ごと倒す一般的な伐採方法では、近隣の状況もあり無理だったためです。しかしこの中吊りする方法で伐採する事は、倒木ヒビが発生しませんので木材も良い状態で製材できるメリットがあります。

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「次は、私たちがその木を活かす」
伐採を終え製材所に運ばれたら、私の出番となります。
挽いてみて、どんな木材に出会えるか…若干の緊張感とともに今からワクワクします。
地産の木を自分たちで活かせる!
そんな気持ちが湧き上がりつつ、生前の父を思い出しました。
父から教えてもらった事を自分らしく活かし製材に取り組みます。

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