新潟 ヘリマネ5-1/2/旧・小澤家住宅にて
過日、新潟市内でヘリテージマネージャー養成講座の5回目が、同市の文化財になっている「旧・小澤家住宅」で行われました。
講義内容と講師は、以下の通りでした。
1:文化財の耐震補強について/(株)建構造研究所 梶井照仁 氏
梶井さんは、旧・小澤家住宅の構造補強について設計・監理された方です。
2:文化財と防災/工学院大学 建築学部教授 後藤治 氏
後藤さんは、文化財の防災についての第一人者。
まず梶井さんのお話では、旧・小澤家住宅の保全補強工事に於いて、初期の調査をもとにした構造補強の方針立てと実際の現場の進め方を具体的に説明して頂きました。
この建物の敷地は、場所により地盤改良が必要なほど悪い所もありました。
その為、小径の鋼管杭やガラスがレットの土嚢を用いた地盤改良をしてから、移築や保全の工事を進めました。
なおこうした地盤改良をするにも敷地の広さが限られていますので、工事着手前の念入りな計画が必要だったと振り返っていました。
また建物自体が、当時の純和風木造住宅のため、耐震に効果のある壁が少なすぎる点をどう補強するか、いろいろな手法を調べその場に適した補強方法を施したお話は、特に為になりました。
補強の方法は、以下の写真で示しますが…鉄筋ブレース(筋交い)、耐震ガラスパネル、耐震木製格子などです。またいったん解体して組み立て直した部分では、鉄骨フレームを新たに作った中へ古い建物を移築再生する手法を採用していました。
ここまで書きますと、ずいぶん大袈裟な補強をしなければいけないの?と思われるかもしれませんが…この建物は文化財でも「不特定多数の人が見学可能にするため耐震性を増す様に」と施主:新潟市からの要望が当初からあったために、大がかりな事になりました。
(参考までに、この工事では全体で5億円ほど工事費がかかっています。)
今日は、ここまで。
※後藤教授のお話は、後日に紹介します。
《土間のガラス戸の模様》キレイですね。