工務店 佐渡 takumi-2jamの日記

佐渡島で自然素材をふんだんに使った家づくりに取り組みながら、気ままに書き綴っています。

佐渡 古民家の改修/古い床板を再利用

台風10号による影響で、朝から雨の佐渡島です。
現在19時ぐらいですが、今までの所暴風雨の様子は有りません。
佐渡島に限らず、各地での被害が無いことを願っています。
・・・
さて、工場ではヒノキとは別の木の香りがしています。
古民家の改修をしている現場から、畳の下に敷いてあった古い床板を現場で再利用するため工場に運び込みました。
材種はアテビで、厚みは約20ミリほどのモノです。
お客様、特に御祖母さんが再利用を強く望まれたため、今回工場で加工をし直し、部分的ではありますが現場で使う予定です。
ちなみに他の床板は腐食により再利用をあきらめましたが、築60年あまり経過しているにもかかわらずアテビの板はしっかりしていました。

「鍔(つば)ノミと竹釘を使った床板張り」
この床材は、佐渡島の古民家で御前(おまえ)と呼ぶ部屋で使用されていました。
昔、御前という部屋では、普段は板の間で生活し、冠婚葬祭時に畳を敷いて使用していました。(その為、板材は鉋で削り仕上げたモノが使用されています。)

現在の床板は、板の長辺方向に凹凸加工がしてあり、それを差しこみながら釘で固定する張り方をしていますが、この古い床板は雇い釘(やといくぎ)と呼ぶ竹釘で板同士を連結して行く張り方をしていました。(昔は工作機械も無い時代、すべて手仕事でしたのでこうした工法になったのでしょう。)

写真の様に、端を尖らせた長さ6センチほどの煤竹を長方形の穴に差しこみ、同様の穴をあけた別の板を付き合せて張って行きます。
なぜ煤竹か?については、油抜きしていない竹は腐食しやすいので十分燻された煤竹を使用していると思います。(これも先人の知恵ですね。)

f:id:takumi-2jam:20160830183833j:plain
《鍔ノミの穴に、竹釘をさす》

f:id:takumi-2jam:20160830183923j:plain
《煤竹でできた雇釘と板同士を連結する途中の様子》

なお、この長方形の穴の加工は、木造の船大工が主に使う両鍔型の鍔ノミという刃物が使用されています。(下の鍔ノミの図は、コトバンクから引用させて頂きました。)

f:id:takumi-2jam:20160830184308j:plain

kotobank.jp

現在ではこうした床張りの方法はしませんが、弊社は過去に能舞台の床修繕でこの工法をしました。
今回は板床材の話題でしたが、昔の職人たちは、いろいろ工夫して家を仕上げていったのがよくわかりますね。

f:id:takumi-2jam:20160830190018j:plain