佐渡 中古住宅の改修計画/いつもこうして進めてます⑴
まだ寒さ続く佐渡島ですが、冬の峠を越えた感がします。
またブログ更新がままならない状況でしたが、おかげさまで忙しい日々を過ごしています。
今回は、原点に戻り私がどんな感じで改修工事の計画を進めているかを書いてみます。
偉そうに述べるつもりはありませんが…私の仕事は、お客様のために快適な生活の場(空間)を描き、提案し、職人たちと共に作り上げることです。
その実現のためには、いくつかの過程を経てからでないと相談者のピントの合った提案も出来ませんので、以下に整理してみます。
※文中の写真は、(相談者のプライバシーを考慮して)いくつかの事例を混ぜて掲載しています。
佐渡島で改修工事をするかどうかでお悩みの方々の参考になれば幸いです。
= 中古住宅の改修計画を進めるにあたり⑴ =
1.現地の確認
改修計画をするために、(住人が居る居ないに関わらず)何度か現地を訪ねます。
それは現場実測や要望打合せという実務的なことだけでなく、周辺環境やその場の魅力、避けた方が良いことなどを自分なりに確かめることも含まれます。
この方向の眺めはいい感じだけれど、現状は窓も少なく塞ぎがちになっている…とかはよく有るケースですし、島暮らしをしてゆく中で外部とどう繋がるかも大事な要素になってきます。
また建設当時はこれまでの間取りで良くても、これから生活するお客様(その家の子孫や中古住宅の購入者)が改修後に快適な生活が出来るかどうかを周辺環境からも予測している感じが強いです。
2.現場実測「野帳作り」と現状把握
築50年以上経過した多くの中古住宅では、当時の図面が残っていることは稀です。そのため私は実測をし、フリーハンドで野帳を描き、その家を自分なりに理解するようにしています。
ありがたいことに昔の家の内部では真壁(柱が見える壁)が多く、尺貫法で大工さんが作っていたので、柱の位置もかなり分かりやすく、この通りを意識して柱を建てているな!とかが実測している時点で見えてくることも多いです。また間取りだけでなく、現状の天井高さも図り記入します。
余談ですが、野帳を作成する時に私は尺貫法で描くことが多いです。その理由としては、当時の大工職人がどういう寸法を使っていたかが明確になるためです。1尺という寸法は303ミリで換算できますが、現場の柱間隔は〇尺〇寸と区切りの良い尺貫法の寸法を使っていることが多いためです。
実測を済ませたら、次は現状把握をします。
実測平面図のコピーを用意し、そこに現場の状況を書き込んでゆく作業です。
中古住宅では、床がフワフワする、雨漏りした跡がある…という事例が多いですね。
その後、外観や各部屋の壁ごとの写真を撮り一区切りとなります。
しかし自分なりに腑に落ちない場合などは、床下や天井裏に入って現状を確かめることもあります。改修計画の段階でも「(普段)目に見えないところが大事」だと私は考えています。
そうしたいろいろな情報を盛り込んだ野帳を作ることは、改修計画を進め工事内容が具体的になった行く過程で「直さなければいけないこと」も明確になってきます。
また築80年以上の古民家の実測時には、野帳で断面を描くこともあります。
吹き抜けや高い天井とそこにつながる2階の部屋などのボリューム全体を把握することは、古い良さを残しつつ新しい生活に活かせる、と私は考えているためです。
長くなりましたので、今回はここまでにします。
次回は「野帳をもとに改修計画を練る!」をテーマにした記事を書く予定です。
家の改修や新築を考えている(むしろ悩んでいる)方には、随時相談に応じていますので下記メールアドレスまで連絡下さい。
2jam-takumi@e-sadonet.tv
では、引き続きよろしくお願いいたします。
有限会社 川上工務店 川上巧