工務店 佐渡 takumi-2jamの日記

佐渡島で自然素材をふんだんに使った家づくりに取り組みながら、気ままに書き綴っています。

「佐渡 文化財保存修理/自然素材のみで塗る」

 水・藁・砂・土という自然素材に,人が加わり仕上がって行く「土塗り壁」の過程を目の当たりにしました。

f:id:takumi-2jam:20220615191256j:image

 近場の手に入れやすいものでモノを作り出せることは意義あることで,(声高らかに"持続可能なウンヌンカンヌン"を唱えるより)スゴイことではないか‼︎とあらためて感じました(^-^)

 そうした意義も含め,昔当たり前であったことが,今は貴重な機会としてここでは蘇っています。
f:id:takumi-2jam:20220615191248j:image

 私としては,文化財保存修理だけでなく,今の時代に活かし直せないかを頭中で思い巡らせています。

また,その場に立ち会えて居ることが、本当にありがたいです。

f:id:takumi-2jam:20220615191534j:image

「佐渡 関われる喜び/文化財保存修理/竹小舞」

ヘリテージマネージャー仲間とともに保存修理で工事監理をしている文化財では、今期も工事が始まりました。

昨年は(既存の構造木材を活かした)建て方や茅葺き屋根工事を主に行い、今年度は全体を仕上げる工事内容です。

先日訪ねた際には、土塗り壁の下地となる竹小舞を左官職人が編んでいました。

茅葺き屋根の下で竹小舞を編む職人

編み終えた竹小舞を見た時、率直に美しい!と思いました。
反面、荒壁と呼ぶ土塗り壁が塗られるのが惜しい気持ちもしました。と言いますのも、小舞の壁から差し込む外光が美しかったからです。

竹小舞を通して差し込む光

左官職人の”手仕事”で編まれる竹小舞は、実に美しいものです。

「これほどの面積を(竹小舞を)編むのは、20年ぶりぐらいかなぁ」とベテラン職人は照れながら話していましたが、手際よく編んでゆく様はさすが職人だと思いました。

壁に合わせ、竹の長さ調整と先付け加工を鉈(なた)でする職人

編む職人

 この物件では工事監理という業務で関わりながらも、貴重な体験をさせて頂いている!と実感しています。

現場へ通うたびに関われる喜びを感じています。



佐渡 島の工務店らしく

私どもは島の工務店らしく,木造建築物(主に住宅)の施工以外で"木に関係すれば"気持ちよく様々な相談・依頼を受けています。

f:id:takumi-2jam:20220608175935j:image

魚の加工業の方からは,乾燥させるための網。

水気,塩気による不朽がひどくて、網を支える木製フレームを作り変えました。

f:id:takumi-2jam:20220608180000j:image

そして個人のお客様からは,その方の祖父が手作りした蕎麦打ち台の修理。

長年使い続けたため台板同士に隙間が開いたりガタガタしていたのを,大切に使い続けたいという思いから声掛け頂きました。

 

モノだけを捉えれば,本業から逸れたモノだと思いますが、(佐渡島という田舎でもあり)私どもはこうした木製の生活道具も大事にしたいと常々考えています。

佐渡 古民家の部分改修/床張り替え

思いの有る方からお声がけ頂き、変わらず古民家改修の仕事も続けています。

今回は、佐渡の民家で「オマエ又はオイエ」と呼ぶ広間とその奥に続く部屋の床張り替え工事です。

初日の様子(まずは養生から)


全体的な床の老朽化だけでなく、部分的とはいえシロアリ被害を受けた状況や、自分たちらしくこの部屋を使う目的(思い)が募り、今回の工事を実施する運びとなりました。

床下地作り

古い床下地を撤去し、地面をきれいにしてから防湿シートで湿気対策を施し、その後床下地作りに取り掛かります。

ウッドショックで木材価格が高騰しているためヒノキが採用できず、床下地には杉材を使用しました。ただし床下地には、シロアリ対策としてホウ酸処理を施しました。
床下地が整った後は、根太の間に床専用の断熱材を入れました。

床張り作業

床材は、脚触りの良い杉材を採用。
脚触りが良いのは杉材が柔らかいからですが、傷がつきやすい一面もご理解頂いた上で使っています。

建具の部分塗装

無垢床を張り終え蜜蠟ワックスをかけた後、塗装職人より古い建具の部分塗装をしてもらいました。この建具は元々ここに建っていたモノですが、バリアフリー化のため敷居を外した分だけ建具の下部に高さ6センチほどの木材を付け足しました。

塗装職人が作業に入る前には、必ず色サンプルを作ってもらい、古い建具と色合いの違和感が出来るだけ少なくなるようにします。

仕上げ終えて

ちょっと長くなりましたが、以上の様な工程で無事現場を終えました。

 

祝! 湊祭り

 規模縮小し神事を旨とした湊祭り(両津湊)が、本日午前取り行われました。

3年ぶりの祭り開催がとても嬉しくて、生まれ育った地元の懐かしい方々と再会できたことをありがたく思いました。
また勝手ながらこのブログをご覧の皆様への、無病息災やご商売繁盛も願わせて頂きました。

来年またここでお会いしましょう!!



 

佐渡 悩んで当たり前の家づくり

漠然としたタイトルで、すいません。

 今年に入り住宅の新築や実家やその他の改修、中古住宅を購入するかどうか等、下記に列記したとおり様々なご相談を受けてきました。
 ・家を建てようと考える若い方。
 ・譲り受けた家を自分たちらしく改修したい方。
 ・定年前後にUIターンした際、実家や中古住宅を改修して快適な住宅に住みたい方。
 ・佐渡島への移住を検討している方。
 ・・・などなど。

 それぞれの方たちの話を聞きながら、一点共通することがありました。
それは「誰に相談したら自身の安堵や納得が出来るかを迷い悩んだ」早い話が「誰に相談したら良いかで悩んだ」点です。

 家づくりなどで迷われている方、思いっきり悩んでいいんですよ!

 それが当たり前だとこの業界にいる僕も思いますし、もし僕に相談をして「川上じゃダメだな。」と思ったら、相談相手を変えても良いと思います。

 新築にしても改修工事にしても、家づくりは依頼者の意向に沿う満足度の高いモノって簡単に短時間で出来るものでは無くて、設計者を信頼したコミュニケーションの結果と現場対応で時間をかけて仕上がるモノです。その点だけは、自分たちらしい家を望む方たちに、気に留めておいて頂きたいところです。(家づくりに関して、水回り商品だけ良ければとか、何でもよい方は、他社をお勧めします。)

トンネルの先に海が見える景色:佐渡島 北鵜島


 なお先述の方々とは、今後も僕と打合せを重ね、相談者の夢を熟成させながら、自分たちらしい家づくりを考えてゆくことになっています。対応については僕一人での対応につきお時間頂きますが、今後ともよろしくお願いいたします。



佐渡 場をシンプルに仕切る

久しぶりにブログ更新します。

連休中にもかかわらず早起きしたので、”不思議な思い付き”で両津港から北に車を走らせ大野亀に行ってきました。

大野亀の手前にある願集落

自分の行動にあたり”不思議な思い付き”・・・と書きましたが、大野亀の鳥居を見たほうが良い!!と何故か思ったのでした。

大野亀の鳥居

訪ねた時は、なかなかの強風が吹いており、足を踏ん張って写真を撮るような状況でした。

鳥居の木肌

鳥居が在ることで、そこに信仰があることが分かるだけでなく、場の空気を凛と仕切っています。
この様なとても簡素な形で場を仕切るのは、とてもスゴイことです。

僕たちの作る又は直す家でも、こうした仕切り方を意識したいと思いました。
この場所に(思い付きでも)来て得たことは大きかったです。

大野亀近くの浜に咲く花